妊娠後期からは診察前に「ノンストレステスト」という、母体のお腹にセンサーを取り付けて、胎児の胎動と心拍を確認し、胎児がお産に耐えれるかどうか調べるようになっています。
今回、その結果がとても良いものでした!
結果表には、グラフが二本あり、一つは胎児の心拍、二つ目は胎動を記録するようになっています。胎動があれば波打ち、それと同時に心拍も波打つようになっていて、そのギザギザが多いほど元気な赤ちゃんの証拠だそです。
心拍の表をみて医師が言った。
「無脳症の子は、もう少しフラットだけと、普通の子と一緒だ。」
成長も心臓も呼吸もすべて普通どおりに成長している。
ジョイスの心拍は、健常な胎児と同じだった。
波のギザギザがあまりないと弱い子らしいが、ジョイスは無脳症があるにも関わらず「元気な子」だと聞かされた。
ジョイスは、いつも私の子宮の壁で休むのが好きで、この日ももたれかかっていて、のんびりとした、穏やかな顔を見ることができた。主治医は、エコー画面に映るジョイスを丁寧に説明して、特に後期に入ってからは、頑張ってジョイスの顔を見せようとしてくれます。
エコー画面に顔が映りはじめて「可愛い~」という私に、医師が「うん、人間らしい顔だね」と言う。人間ですけど・・・ この主治医のぶっきらぼうな感じにも慣れてきた。
前にもジョイスが手を頭の方に挙げていと、「頭のないことが気になるのかなぁ」「頭を探してるのかな」とボソボソ言うので「うーん。かゆいのかも!?」と、とっさに応えたことがある。笑 いつもシリアスなのに、急に 思いがけないことを言われるのが少し面白くて、関西人の私は心の中でいつもツッコんでしまう。
この日のジョイスは、口をもぐもぐ(嚥下)させて、この世に出てきたときのためにミルクを飲む練習をしていた。心臓も元気、呼吸もできているから、もしかしたら産後生きるかもしれない!?と思い聞いてみた。
少し生きるかもしれないですか?
「かもしれないね」
嚥下もできているし、 おっぱいがあげれるかもしれない?
「トライはしてみたらいいと思うよ」という。
今回のグラフの結果が示すのは、嚥下や心臓と呼吸器の生命維持を担う、首の上の方にある延髄や脳幹部がまだ残っていてるということだった。
医師が、その結果をもとにジョイスは大脳皮質が欠除した状態なのだろうと言った。
私が喜びを見せると、「でもね、やはり生き延びるのは難しいよ・・・」と話しを続けてきた。「お腹にいるときは、母体を通して栄養をもらって育っているけれど、産まれてきたら自力呼吸をして心臓を動かさなくてはならないからね。また、額から上がむき出しだから感染が一番心配だね。今は治療法もないし、延命治療を施すこともしないからね。だから、いずれはね・・・」
医師が続けて話した内容は、全く気にしなかった。ただ、ジョイスが生きるかもしれないことが嬉しくて、診察室を出たら手が震えてきた。それと同時に、嬉しくて涙が出てきた。
前夜も祈っていた。神様のみこころがジョイスに私たち夫婦になされますように。もし、あなたが許されるならジョイスを生かしてください・・・そう何度も祈りながら寝てしまってた。学生の頃に試験勉強をしながら寝てしまったときのように、目を覚ましても暗記の続きをしているような感じで、目覚めても思いの中では祈り続けていた。
その祈りを神様が聞いてくださったように思えて嬉しくて涙がでた。一時は、死んでしまうかと覚悟したけれども、神様はジョイスをまだ生かし元気に心臓を打ち鳴らさせてくださっている!
無脳症のジョイスを産むためには、「無脳児への治療法がないこと。そのため、延命処置は施されない」そのことに了承しなくてはならなかった。その同意をするために、妊娠4ヶ月の時に、産婦人医、小児科医、心理士とで面談した。
今の医療で無脳児に施してあげれることは何もないそうだ。極めて短命でその数分が大切で、治療を施したことろで生きる可能性が低いため、生まれてきたジョイスを家族と引き離さずに時間が過ごせるように最大限の配慮をすると言ってくださった。
でも、延命治療や赤ちゃんに負担がかかることはしないが、ジョイスがもし一日持ちこたえたら酸素を少し吸わせてあげてもいいのかもしれないと小児科医が言ってくれた。
この日の検診で主治医が言った。ジョイスが産まれてきたら、「小児科医は赤ちゃんが苦しまないように最後まで過ごせるように配慮し、私(産科医)は、母体を守るようにするからね。本当にトラブルがないようにしたいんだ。普通ならこの時期にはしないけれど、もし手術や緊急時にすぐ対応できるように一通りの血液検査をさせててね」と言われた。何か変わったことがあれば、すぐに連絡してねといつも言ってくれる。私たち夫婦のために何度も時間を割いて面談してくれたことにも感謝したい。
ノンストレステストの結果が良くて、神様ありがとう~!と心の中で叫んだ後に、ところで医師が大脳皮質が欠如した状態だと言っていたが、それはどの部分だっけと思った。聞いたときは、大脳皮質だけが欠如してるんだ!って思ったが、グーグルで大脳皮質を検索したら・・・
「おぉ~脳全部のことだ」
・・・でも、ジョイスが生きるかもしれないから、脳が全部なくてもいいかな。
神様が何とかしてくださるだろう。
~ジョイスの帽子~ サイズ違いで手作りしたのが5枚、既製品が4枚。神様の計画で生き延びれたときのために、洗い替えも準備できた。
ジョイちゃん、待ってるよ。