11週目に入って、3回目の診察。
赤ちゃんは、大分大きくなっていた。わが子が、手足をピクンと動かす赤ちゃんの姿を初めて目にし、3ヶ月の終わりで赤ちゃんが動く姿を見ることができると思わずとても愛おしく思った。
「袋もちゃんとあるよ。赤ちゃんも元気だね。ここが手足だね。心臓も動いているね」
でも、その後からやけに医師は沈黙になり、エコ画面を見入っていた。そして終わりに、「でもね、ちょっと心配なことがあるから向こうで相談しましょう」言った。
「赤ちゃんの写真を渡され、この時期であれば丸くないといけないのに、平らです。脳は二つあるけど、それを覆う頭蓋骨が形成されていません。
頭骸欠損(とうがいけっそん)ですね。
聞きなれない言葉で覚えられなくて、もう一度言ってくださいと頼んだ。
「これは、重症な奇形で、明らかな障害です。
普通には、育たないです。お母さんのお腹の中にいる間は育つけど、生まれ
ても生きることはできないですね。」
「今すぐ、答えをださなくていいです。」
どういう意味・・・??
「このような場合は、ほとんどの人が中絶をされます。」
How was baby ? ” 赤ちゃんどうだった~?” の一声とともに夫は帰宅した。
夫にハグをあげ、『赤ちゃんダメかもしれない。頭の上半分がないんだって』と伝えると、『はっ!?』と言って夫は笑った。
夫は、私がいつものように冗談をいっているのだと思ったらしいが、泣きそうになった私に気づき、事の重大さを察して、ただじっと抱きしめしてくれた。
夫が帰ってきて、ほっとして泣けてきた。冷静に受け止めたつもりだったけど、心は悲しくて、私は大丈夫だと思うのに、ただ涙がでた。
その夜は、つわりがしんどくて、私は娘と早く就寝したが、
夜遅くベッドに入ってきた夫の目は、赤く腫れていた。