5時半に目が覚めた。
ジョイスはいないが、この地に住む私たちには毎日新しい朝が来る。
長女を起こさないように、夫とそっと寝室をでて、別室に行って聖書をひらき、神様との時間を持つ。
夫と朝の賛美をし、ジョイスと見た朝の光を二人で浴びて祈る。
神様、まだ地にいる私たちを必ず神の国に入れてください。
らくだが針の穴を通るより難しいというその天国の門を私たちが通れますように、私たちの心を守り、清く保ってください...
夫が祈る。
神様、僕に虹を見せてください。
僕には、ジョイス見えません。
ジョイスが、イエス様とともにいることを見せてください。
夫の祈りに、悲しみを感じ、私も虹を夫に見せてあげて欲しいと願った。
午後からは、産婦人科と、ジョイスがお世話になった新生児科に挨拶に行った。
ジョイスを看取ってくださった玉井医師は手が空かずお会いすることができなかったが、出産前に面談した影山医師に挨拶をすることができた。
もし、ジョイスがまる1日生きていれば、酸素マスクをつけてあげてもいいといってもくれた先生だった。
希望がない中、その言葉がとても嬉しかった。
新生児科の病棟には、産まれて間もない小さな赤ちゃんがたくさん保育器の中にいた。必死に産まれてきて、今も戦い続ける新生児と、我が子を懸命に見つめる親と医療スタッフたちの姿がそこにはあった。
先生にお礼を伝えると...
「本当にこんな仕事、無くなればいいのにね... 。
こんな仕事していますしね、また会いましょうとは言えないから、まぁ元気で」と言われた。
産まれ出てきて、この病棟で少しの間を過ごした後に、無事に家に帰れる子もいれば、皆が尽力の限りをつくしても命の期限がきてしまう子もいるのだろう。そんな緊迫した状況に常に向かい合い続ける心境はどのようなものだろうと考えていた。
ジョイスも生きていれば、ここにいたのかもしれないと思いながら、必死に生きようとする赤ちゃんたちを横目に病院を後にした。
この夜、私は夢を見た。
そこは、まるで雲の中のようだった。
そのふわふわで真っ白なところには、スーパーマーケットがあり、その中で、赤ちゃんを連れた人が買い物をしていた。
きっと女性だと思うが、その人は、自分の子ではないその赤ちゃんにあうサイズの天使の羽のついたベストを選んであげていた。
次に、白い天使の格好をした5歳くらい女の子が、私のところに来て、色々説明してくれていた。身振り手振りをつけてたくさん話してくれるのだが、私には全然意味が分からなかった....。
そんな夢だった。
でも、目が覚めたとき、
夢にでてきた赤ちゃんが、ジョイスのように思えた。
ジョイスは、ちゃんと天使の羽をもらって、無事に天国へ行けたのだ。
ジョイスの横にはお世話をしてくれる人もいたし、小さな可愛い天使もいたみたい。きっと、良いお友達になれるはず。
「ジョイスは、天国に行けた」それを知らせてくれる夢だった。
その話を夫にすると、少し表情をゆるめて「良かった...。」と静かに言った。