咲子さんへの着信音を聞きながらき、これぞ!マーフィーズロゥだと思った。(Murphy's Law ,マーフィの法則)
英語で皮肉的な表現で使うのだが、普段起こらないのに、このタイミングに限っておきてしまう!のような時に使います。
この一ヶ月半、ほぼ途切れることなく、母か妹が関西からこの出産のために来てくれていた。我が家で、いつもどちらかがスタンバイしてくれていたのに、今日に限って二人ともいない!さっきまでは、妹がいたのに〜 "今"ここに、いない‼︎ マーフィーズロゥだ…泣!
そして、咲子さんにもつながらない・・・・
電話の目的は、母が到着するまでの間、病院で娘の子守りを頼むためだった。夫が、私の出産に立ち会わずに 娘の守りをすれば良かったが、痛みに弱すぎる私には、夫の存在が必要だった。また、3歳の娘に出産で苦しむ母親(私)の姿をどうしても見せたくなかったからだった。
幸いにも、17時半の病院到着と同時に咲子さんから折り返しがあり、すぐに病院に向かってくれることになった。
病院の駐車場から産科に電話して「もう、赤ちゃんが出てきてるかも」と伝えた。
2分間隔くらいで来る痛みの中で、陣痛が来ていないときに早歩きで二階の受付に上がり、助産師の迎えを待っていた。その間にも、また陣痛の波が来る。
ジョイスが出てきているかもと思い、椅子にも座れず、立ちながら助産師の到着を待つが、陣痛の波が来たときは立っていることができなかった。でも、ここで叫ぶと皆が怖がると思い、声を我慢しながら… ううぅぅぅぅ…膝まずいて、うずくまる。
近くにいたおばちゃんが駆け寄ってきた。大丈夫なの?すごく辛そうよう?大丈夫の一言が口から出ない。答えられない。声が出ない。
そうしている間に、助産師が到着。私を車椅子に乗せてくれ、裏通路を早足で 産まれる、産まれると言って病棟に向かった。
病室も陣痛室にも立ち寄らず、連れて行かれたのは分娩室。服も着替えず、即座に分娩台に乗せられらた。
目を上げると、今日出会ったばかり二人目の主治医がいた。
主治医の顔を見たら、陣痛の合間ではあったが一瞬ほっとした。
「先生〜 、先生の内診が効きましたよ。」
主治医が、ニコリと微笑んで言った。
「お母さん、赤ちゃんね、もうすぐそこにいるからね。今日、産みましょう!」
そして、分娩が始まった。