でも、頭蓋欠損の診断に間違いく、
いずれは、無脳症になるであろうと他院と同じ診断であった。
医師からは以下のことが主に語られた。
①病気の概要
②出産のリスク
③中絶方法
・中絶するのが一般的です。
重症な奇形であり必ず死ぬ 致死的な障害だから
母体を思えば致死の子のために、母体を出産の危険にさらすことは避けるためです。
個々の質問に的確に答えてくれるのから、経験と知識の深さがよく分かった。かだからこそ、話を聞けば聞くほど、私はおじけずいた。
年間に日本だけで100人の妊婦が死んでいっている。
100人死ぬということは、その水面下にどれだけの妊婦が重症や後遺症を抱えて生き延びていると思いますか?
あなたには、一人元気に生きているお子さんがいるじゃないですか。僕は、妊婦が死ぬ姿を見たくないんです。実際に見てきているから言っているんです。
あなたにもしも、何かおこったときに可哀想なのは残された家族なんです。
・出産は命がけです。何か起きたら医者がどうにかしてくれると思ったら大間違いですよ。
・致死といわれる子のために、帝王切開はしない。
逆子であっても膣分娩になる。
帝王切開は、より危険が伴うから。
・今後、骨が形成されることはない
たとえ形成されても、羊水にさらされてきた脳には大きなダメージがある。
・頭骸欠損、または無脳症だから、特別妊娠が困難になることはない。
・無脳症になったときには、脳が羊水の中で溶けてしまい胎児が嚥下ができなくなってくると、羊水過多になる可能性がある。
夫は、私の身の安全を知るために大量の質問をしていたが、私の意識は8割方”中絶”という言葉でいっぱいであった。
長女出産後に、二度と分娩台には乗りたくないと思った。
陣痛促進剤を使い、三日間苦しんだ。発熱、嘔吐に悪寒、呼吸困難で酸素マスクをつけてもらい、意識を失わないように夫に手を握りしてしめもらいながら、長女を出産した。出てきた長女は弱い産声をあげたが、仮死状態ですぐにNICUに連れていかれてしまった。
私自身も、出血がひどく、意識が朦朧とした中で産んだ経験を思い出すとき、出産で命を落とすことは十分理解できた。
明日、血液検査をして出産しても大丈夫か確認する。
私は、こういう珍しいことに遭遇する人なのかもしれない。幼児期に特定疾患に指定されている”再生不良性貧血”をわずらい、輸血を続けた後に完治した。
でも、主治医に出産などで大量に出血をすると、再発する恐れがあるから注意するようにと言われていたからだ。