15時半頃。遅めの昼食をとりながら、主治医に伝えられた ”2つの選択肢”について夫と話していた。
「ひろみはどうしたいの?」
「うーん。薬を使わずに、このまま陣痛が来るのを待とう思う。ジョイスを信じたいの。」
なかなか出てこないのにも意味があるのだと思うしね、神様が与えてくれた子だから、最良の時に出てくるよ。
それに、お腹の張りも強くなっている気がするから…と言ったときだった。
「う〜〜〜、あなた、お腹が痛い!」
急に、深い鈍痛がお腹に走った。
夫は、いつもの私の”陣痛きたかも〜” に慣れすぎていて、
大丈夫?無理しすぎないでねと言った。
「う〜〜あなた、やっぱりお腹が痛いの。3、4分前と同じ痛み!」
えっ?3、4分?ごめん、仕事にもどらなきゃ。続くようだったら病院に電話してねと言って、夫は電話を切った。
3〜4分間隔の痛みが、30分間続いたから病院に電話した。
今から来るように と言われたので、夫にすぐに帰宅してもらった。
よし!今日かもしれない!と二人で意気込み、支度を急いぐ。
洗濯物を取り入れて、娘の明日の制服をもち、祈り仲間に連絡、ビデオカメラを持って、ピオーネを洗って、チョコレートとお茶を作っていたら16時半になった。
最初の陣痛がきてから1時間くらい経つ、ねーあなた、お腹がどんどん痛くなってる。リミットよ!今すぐ家を出なきゃ。
痛みで、手が震えだした。でも、みんなに伝えなくてはと思った。
ジョイスを愛し、陣痛が来るのを私とともに待ってくれている人に、ついにこの日が来たことを伝えたかった。
また、それを知って、祈ってくれる人がいるはずだと信じて、震える手でパソコンを開き、陣痛が来たかもしれない、病院に行く!とブログに短く書き、娘の待つ保育園を経由し病院へ向かった。
え〜信じられない。 物凄く、お腹が痛い!
「あなた、今日産まれるよ」夫に言った。
痛くて、声を出さずにはいられなかった
「あ’’’’’ーーーーー!あ’’’’’’ーーーー!」
長女のときは3日間かかったからと 余裕で構えていた夫も、あまりの進みの速さと、体を歪めて痛がる私の姿を見て慌てはじめた。
保育園につき、「今日産まれたら、明日はお休みしますって、園長先生に伝えようか?」と尋ねてくる夫に対して、
「NOーー!とりあえず、はやく、はやく、まなみを連れてきて!誰にもつかまならない、しゃべらない。とりあえず、はやく!」
夫は、私の指示に「はい、はい、はい」と答えて、大慌てで保育園の門をくぐった。
お喋り好きな娘が車に乗り込むと、いつものように「今日ね、あのね〜 」と話し始める。なるべく話しをする時は、顔を見てあげようと思っているのに今は無理だ。
娘が話し続ける間にも、陣痛が来る。痛みの波が来たら、娘が座るチャイルドシートの後ろに顔をうずめて痛みが過ぎ去るのを待った。私が顔をかくす姿を見た娘は、私が遊んでいるのだと思ったらしく、
「マミー、みーつけた!♡」と言いだし、その娘の一声から、車内で”かくれんぼ”がはじまった。(笑)←今だから、笑える
陣痛が来たらチャイルドシートの後ろに顔をかくし、「まーだーだーよ〜〜〜!」に合わせて、痛みを声に出した。陣痛が過ぎ去ったら、顔をだして娘が安心するようにした。痛みがますます長く強くなってきて、私の「まーだーだーよ〜〜〜」が長すぎて、娘が待てずに 私の顔を覗き込もうとした時は 夫に振った。「あなたの番よ!はやく何か言って」。
車の前座席を両足で突っ張り、なんとか持ち堪えようと頑張るが、
下の方に、もう違和感があった。ジョイスが出てきているような固い感覚だった。
私の ”かくれんぼ”の掛け声が、痛みとともに大きくなると、娘のテンションも上がり、大はしゃぎしはじめた。夫は、ハンドルを握りしめ、他の車をよけながら必死に病院へと急ぎ、私はもがき叫び、娘はキャーキャー喜び、その中でジョイスは出てこようとしていた。我が家の小さな車の中は、あまりの非日常のことに、大騒動と大混乱を起こしていた。