助産師さんから出生証明書を受け取り、ジョイスがこの世の住人になれたことを喜んだ。母が私の額を撫でて、ひーちゃん、よく頑張ったね。と労をねぎらってくれたら涙が溢れてきた。
病室には、家族だけの空間があり、白衣の人が出入りする分娩室よりも落ち着いてジョイスとの時間を過ごすことができた。皆が思い思いの言葉をジョイに話しかけ、あらためて初めましての挨拶をし、ジョイスを優しく抱いた。学校を終えて到着した妹も加わり、ジョイスを囲んで病院の売店で買ってきた夕食をとり、笑ったり冗談を言ったりよくある家族団欒のときを持った。色々していたら長女のベッドタイムを大幅に過ぎて、夜11時が回っているのに気づき、夫が慌ただしく長女の寝る支度をして電気を消しニシ家の就寝のときを迎えた。
私のベッドにジョイスを寝かせて、私のベッドのわきに簡易ベッドを二台並べて夫と娘が添い寝することなった。
私の母と妹は、私のベッドの足元に並べられた二脚の椅子に座り、横になる私とジョイスを眺めていた。母と妹は、ベッドを置くスペースがなかったため、疲れたら病院の控え室で仮眠を取らせてもらうことになった。
電気を消して、眠り始めた長女の寝息を聞き始めると、いつもの我が家と同じ空間ができていた。ただ場所が違うだけ、今日はここが我が家だ。娘を寝かしつけている夫が、これもいつもの如く寝息を立て寝入ってしまっていて微笑ましかった。起こそうか迷ったけれども、普段通りの生活をしている感じもあり、ジョイスの容体の変化などにより、この先いつ寝ることができるか分からないから少し寝かせてあげることにした。一方で、その日常の生活にとても心が落ち着いたりもした。二人の寝息を聞きながらジョイスの横顏を眺めていると、ふぁーって小さなくちであくびをしたり、ニコリと小さな笑顔を見せたり赤ちゃんらしい表情がとても愛くるしかった。長女のときにも同じことをしたなぁと懐かしく、また新しい命が私の横にあるのがとても幸せな気分に満たされた。